一日が終わるころ、「今日も、自分のためには何もできなかった」と感じることはありませんか。家の用事、仕事、家族との連絡。ひとつずつ済ませていたら、もう夜。ようやく座れたのに、何かを始める元気は残っていない。
50代からの時間を、もう少し自分のためにも使いたい。そう思っても、暮らしを大きく変えるのは簡単ではありません。まずは、いつもの一日の中から、少し軽くできるところを探してみましょう。
予定表に書かれていない「用事」もある
買い物そのものは短時間でも、冷蔵庫を確認し、献立を考え、足りないものを思い出す作業があります。家族の予定を気にかけることや、返していない連絡を覚えておくことも、予定表には載りにくい用事です。
自分の時間が残らないとき、「もっと手際よくできたはず」と自分を責めなくて大丈夫。何に時間を使っているかに加えて、何をずっと気にかけているかにも目を向けてみてください。
仕事や介護など、すぐには減らせない役割もあります。ここで紹介するのは、今の事情の中で選べそうな工夫です。できそうなものをひとつ選ぶだけで構いません。
1.「時間がない」と感じる場面をひとつ選ぶ
一日全部を細かく記録しようとすると、それ自体が新しい用事になってしまいます。まずは、いつも慌ただしくなる場面をひとつだけ思い浮かべてみましょう。
- 朝、出かける直前になって探しものをする。
- 夕方、献立が決まらず何度も冷蔵庫を開ける。
- 夜、連絡を返しているうちに自由な時間が終わる。
たとえば朝の探しものなら、鍵とバッグの置き場所を決めてみる。夕方の献立なら、忙しい日に作るものを二つだけ決めておく。「一日を変える」より、困る場面を絞ったほうが試すことを選びやすくなります。
2.毎回考えることを、少し減らす
暮らしの中には、同じことを何度も判断している場面があります。何を買うか、いつ掃除するか、何を着るか。その全部を毎回、新しく考えなくてもよいようにしてみます。
- 買い足す定番品は、一か所にメモしておく。
- 忙しい日の食事は、手間の少ない組み合わせを用意しておく。
- 翌日に着たい服は、余裕のあるときに一組出しておく。
大切なのは、自分の楽しみまで省かないこと。料理が好きなら、献立を考える時間を残してもいい。服を選ぶのが楽しみなら、別の用事を簡単にする。気が重いところから見直してみましょう。
3.ひとりで引き受けている用事を見直す
誰かと暮らしている場合、気づいた人が毎回その用事を引き受けていることがあります。「自分がやったほうが早い」と続けているうちに、いつの間にか自分の担当になっていたことはないでしょうか。
分担を相談できる相手がいるなら、「少し手伝って」よりも、ひとつの用事を具体的に伝えてみてください。たとえば「火曜日は、夕食後の食器を片づけてもらえる?」という言い方です。
任せる相手がいない場合は、用事の回数や仕上がりの基準を見直す方法もあります。急ぎではない片づけを翌日に回す、買い物の回数を減らす。頼むことも、自分で少し省くことも、暮らしを続けるための選択です。
4.自分の時間を「全部終わった後」に置かない
「用事が全部終わったら、本を読もう」「落ち着いたら、好きなことをしよう」。そう考えていると、次の用事が先に入り、自分の時間が後回しになることがあります。
試しに、次の一週間の中で、短い時間をひとつ選んでみましょう。土曜日の午後に本を一章読む。夕食後、お茶を飲みながら音楽を聴く。犬との散歩で、いつもよりゆっくり景色を見る。特別な予定でなくて大丈夫です。
時間の長さは、自分の暮らしに合わせて決めてください。予定どおりにいかない日があっても失敗ではありません。できなかった日は、別の日や、もっと短い時間に置き直してみましょう。
5.空いた時間を、すぐ次の用事で埋めない
少し時間ができると、「今のうちに、あれもやっておこう」と思うことがあります。でも、その時間を何に使うかは、いったん立ち止まって選んでもいいはずです。
「何かをしたい」のか、「今日は休みたい」のか。椅子に座ってぼんやりする、窓の外を見る、犬の隣でくつろぐ。そんな過ごし方も、自分のための時間です。
趣味も、学び直しも、新しい挑戦も、始めたいと思ったときに選べます。空いた時間を有意義に使わなければ、と急ぐ必要はありません。
今週、ひとつだけ軽くするなら
五つ全部を取り入れようとすると、また忙しくなってしまいます。読みながら「これならできそう」と思ったものを、ひとつだけ選んでみてください。
たとえば、夜に届いた急ぎではない連絡は翌朝返す。週末の片づけを一か所だけにする。次の休みに、予定を入れない時間を残す。その変更で暮らしが少し楽になったかを見て、合わなければ戻して構いません。
50代からの自分の時間は、長い休日や大きな決断からしか始まらないものではありません。いつもの暮らしの中で、「これは続けたい」「ここは少し変えたい」と選ぶことからも始められます。
今週、自分のために残したい時間は、どんな時間でしょうか。

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